データで見る“ジロ・DE・信州2006”

ジロ・DE・信州の速報版リザルトが発表されていました.いつも K.Araiさんがリザルトを集計して傾向分析しているのが面白そうだったので,僕も真似をして集計してみました.
K.Araiさんの分析は自転車に乗りなれた人ばかりが参加するレースイベントの集計ですが,今回のは,いろんなバックグラウンドの人が参加するサイクリングイベント.どんな傾向が現れるのかがサッパリ分からず,なかなか楽しかったですよ.
集計結果と考察は,例によって「続きを読む」から記述します.です.

今回の集計のポイント

リザルトに掲載されているデータは,参加者ごとの「スタート地点」「スタート時刻」「万力公園チェックポイント通過時刻(フルクラスのみ)」「ゴール時刻」の 4つです.今回の集計では「クラスごとの参加者層の脚力・ペース配分の違い」にまずは着目することとし,時刻情報から総合タイム,ハーフ区間タイムを求めた上で,2つの集計観点で結果を考察することとしました.

  1. 全てのクラスが共通で走る,後半ハーフ区間(万力公園〜八峰園)での走力の比較.(余計に峠を越えた状態の上位クラス走者と,元気な下位クラス走者との比較)
  2. 柳沢峠経由となった新コースにおける,参加者全員の総合タイムの分布

なお,個人比較ではなくクラス毎の参加者傾向の比較が目的ですので,あるタイム区分についてクラス毎の人数割合(%)分布で集計してます.(例えば,フルクラスの○%の人は 10時間前半で走っている・・・というような集計.)
ちなみに,チャンピオンクラス参加の4名は集計から外しました.参加者4名なのでデータ的に少ないのと,タイムが偏っているのであまり参考にならないので・・・.

ハーフ区間の比較


グラフを見ると,全体的には,だいたい同じくらいの時間帯でみんな完走しているようです.さすがに峠を越してくると上位クラスの人もヘバってきてるみたいですね.いろんな脚力の人が一緒のペースで走れる,いい感じの状況になっていることが分かります.
クラス毎の傾向を見てみましょう.
ハーフクラスは 3時間後半〜7時間超にほぼ均等に分布していることがわかります.これは,ハーフクラスが今回のビギナー向けのクラスであることから,脚力の幅がもっとも広くなっているからだと思われます.いろんな人が自分のペースで走ることができる,狙いどおりのクラスになっていることが分かります.(ビギナー向けっていっても,80kmくらいあるんですよね.すごいなぁ・・・.僕が自転車始めた頃ってそんな根性無かったですよ〜.多摩川CRでヒィヒィ言ってたんですから・・・!!)
さて,フルクラス(奥多摩湖駐車場)組はどうでしょう.大きく分けて,3時間後半〜4時間後半で走破したグループと,5時間後半〜6時間前半で走破したグループの 2つに分類できそうです.これは,前者グループが 柳沢峠を越えても後半に脚を残すことができるグループ,後者グループが 柳沢を越える脚力はあるが後半辛かったよグループであるといえそうです.来年に向けて,前者は山岳のスピードUP,後者は山岳でタレない練習をすることで,一気にステップアップ(福生スタート組へ! or このクラスでの大幅タイムUP!)が狙えそうな人がもっとも多いクラスだと思われます.
最後に福生スタートのフルクラス組.さすがに走りなれている人ばかりが参加している(と思われる)だけあって,峠を越えた後の後半のタイムが安定しています.梅ヶ谷峠を越えてから柳沢峠を越えているにも関わらず,後半区間はフルクラス奥多摩スタート組とほぼ同等のタイムです.4時間台後半に集中したのは,おそらく R20号の風が非常に強く集団走行を余儀なくされたため,実力差が出にくくなり同タイムに集中したのでしょう.また,リタイアした人の割合も多いのがこの組の特徴.厳しいコースとなっただけに,慣れている人は予定通りの完走,無理だと思った人は冷静にリタイアしたのだと思います.

総走行タイムの比較


次に全区間の総走行タイムの分布です.もちろん,クラス毎に走行距離も獲得標高も違いますので,単純に走る速さの比較にはなっていません.ご注意を.
全体的な分布でみると,ハーフは3時間後半〜6時間後半でほぼ完走.フルクラス(奥多摩)は6時間前半〜10時間前半,フルクラス(福生)は 7時間後半〜10時間前半となっています.走行時間の差は,おおよそスタート時刻の差と等しくなっており,(塩山〜韮崎の強風という不確定要素はあるものの)クラス毎のスタート時刻の設定がほぼ狙いどおりにできたと考えられます.コースの厳しさと強風の影響かリタイヤの割合も多いですが,運営上のスタート・ゴール時間の設定から鑑みるとこれ以上のスタート時間の繰上げは難しいのではないかと思われます.(対策は,チーム判断での先行スタートくらい?? いざとなれば電車でワープという手もありますね.)
クラス別に見てみましょう.
ハーフクラスはハーフ区間での分析と一緒なので省略します.
フルクラス(奥多摩湖)は,いきなり 6時間前半のタイムに第1の山がありますが,このあたりの人はフルクラス(福生)予備軍だと考えて良さそうです.このクラス本来のメイン集団は 8時間台と考えてよいでしょう.そしてチャレンジ組の10時間台が続くという感じ.このように,このクラスの参加者は,脚力の観点からするとだいたい 3つのグループに分かれていることが見て取れます.ハーフ区間の集計もあわせて考察すると,メイン集団は柳沢峠でのタイムアップ,チャレンジ組は平坦区間に向けて峠で如何に(タイムを落とさずに)脚を残すかが,来年に向けての練習課題になりそうです.
フルクラス(福生)は,やはり9時間〜10時間前半がメイン集団と言えそう.全体の統計としては,総合タイム・ハーフタイム共に顕著な偏りが見られないことから,全体的な実力の底上げが必要になりそうです.

総括

まとめると,

  • クラス毎のコース難度ハンデと,スタート時刻設定は,ほぼ狙い通りになった模様
  • クラス毎の参加者層の分布も特色が出ており,ほぼ狙い通りに機能した模様.
  • コースの厳しさ(柳沢峠,強風)からかリタイヤが目立つ.(電車ワープでの再出走などお気楽な楽しみ方の啓発の余地あり??)

といったところでしょうか.
なお,チャンピオンクラスの分布は,データが少ないので,適当にこのグラフに当てはめて考察してみてください.

ちなみに,僕の個人的な感想としては,みんな凄いなぁ・・・!!です.いきなり 80kmもの上り基調のコースを走ったり,練習不足で柳沢峠突破とか,・・・びっくり! 思い切って走ってみれば,走れちゃうものなんですねぇ〜.