「エデン」近藤史恵

サクリファイス」の続編「エデン」を読了しました.

エデン

エデン

結論から言うと,前作「サクリファイス」の方が気にりました.今回の「エデン」は割とあっさり風味で,爽やかなストーリーなんだけど読後感も妙に爽やかであまり残るものがなかった.序盤から中盤の疑惑の渦がウズウズとする展開までは良かったんだけど,そこからのまとめが余りにも軽く,あれ? これで終わり??って感じでした.
伏線も回収しきれてなかったような気がするなー.何のために登場したんだ?という登場人物もちらほらいましたしね.登場人物といえば,前作のような清濁併せ持つようなキャラクターが不在でしたね.なんかみんな基本的に良い人ってのも爽やかで終わってしまった要因の一つかもしれない.主人公が何かを背負ってそれでも強く生きていくという,そういう人間的変化を感じられなかったかも.
先にネガティブから入っちゃいましたが青春ドラマ的に読めば悪くない.ロードレースの雰囲気は上手く表現できてるように思いますし,Jスポーツで 2009年ツールの新城 5位やフミ敢闘賞の興奮を経験した人にはたまらないサプライズも用意されててちょっと燃えた.中盤から終盤のステージレースらしい勝負の展開も面白かった.とても TV以外でロードレースを見たことが無い人*1が書いた小説とは思えないです.
期待してただけにホントに惜しい.惜しいんですけど,高千穂遙の「ヒルクライム」とかよりも全然面白いのでw,読んで損はないと思います.個人的には文庫版が出るまで待っても良いかな?って感じですけどね.サクリファイスはこないだ文庫が出たので,それを読みながら待つのが良いかもしれませんww
サクリファイス (新潮文庫)

サクリファイス (新潮文庫)

*1:今回の取材でわざわざ仏までツールを見に行ったのに,結局人ごみが嫌だからとホテルでテレビで見てたとか.どんだけー.