ツール・ド・おきなわ 市民130km参戦レポート

TOK2006-11-12

ようやく最後までレポートを書き終えました.長かった・・・!!
今年は去年までの市民120kmのスタート地点(普久川関門)が変更となり,普久川ののぼりの麓の道の駅になりました.従来の120kmから +10km距離が伸びて,市民130kmレースとしてリニューアル.市民200kmじゃなくても普久川の登りを 2回走れます.(w
スタート地点が HOT恒例の宿泊場所であるオクマのホテルから目と鼻の先なので,今年は移動が楽で良かったです.(笑)
いろいろ思ったトピックを,箇条書きで.

  • ホントの上位陣と TOKとの間には実力差が歴然とある.が,やり方しだいで少しは勝負になるかも.
  • 番長練常連の ADUさん,K.Araiさん,ichicoさん,TOYAMAさんあたり,市民 130kmの先頭集団で遊べるのでは?
  • 登坂の平均速度は集団のペースは凄く遅い.ゆっくり過ぎてむしろ疲れた.
  • 逆に下りが速いので,下りの下手な TOKにはかなりキツい.
  • ロードレースは「ペース変化」と「勝負所の100mの爆発力」が凄い.気を抜くと一瞬で置いてかれ集団に千切られる.
  • ヤバそうな区間であらかじめ集団前方に移動しておき,ヤバ気なスピード変化を集団内で吸収できたのが良かった.
  • てなわけで,ロードレースにインターバル練習は重要.位置取りは超重要.
  • 奥の登りで追走集団に乗れたことと,源河の登りでの遅れを単独追走でリカバーできたことが好成績のポイント
  • 名護に戻る道は中切れを狙ってか,かなりハイペースだったが,集団の動きを冷静に見て対処できた.
  • ラスト 1kmから大きく左カーブしてゴール前の最後の直線への動きはすごい快感.
  • 初体験の集団スプリントは,ギア不足とテク不足と体格不足と経験不足(全部かい!)で勝負に絡めず.
  • それでもゴールした瞬間は大感動.おきなわサイコー!!
  • スプリントの頭をとったシマノドリンキングの人が,レース中の僕の動きを覚えてて話しかけてくれたのが嬉しかった.
  • Team物見山の盛永さん他,いろんな人に助けていただいて大感謝.
  • 市民130kmで優勝した台湾人(?)は,集団内での動きを見てても飛びぬけて強かった.

最後まで書き終えたレポートは,例によって「続きを読む」から.
国際ロードが通過し,ジュニア国際男子130kmがスタートしてから,いよいよ市民130kmのスタートです.去年は大幅にスタート時間が遅れてバタバタしてましたが,今年はスムーズにスタート.本来は今年みたいに市民200kmの前にスタートするはずだったのね・・・.
TOKのスタート位置は集団中央からやや後方でした.スタート直後に後方で落車があったようですが,幸いにも巻き込まれず.メイン集団はソコソコの速度で動きますが,幸いにも普久川の登りまではジェントルに動いていたので,中切れリストラ防止のためにアップ代わりにクルクル回して集団の前方に移動しました.
R58から県道2号線に右折したら,いよいよ普久川の登り.最初の登りなので集団は無理せずに上っていきますが,ヤバイ,TOKは完全にアップ不足です.脚が全く回らず,心拍も上がりません・・・.(泣) 斜度もそれほどなく,集団のペース自体も遅いのですが,集団の中で気を使って走らなくてはいけないので,いつもの2倍くらい疲れてしまいます.凄く辛くて先頭集団から切れ気味・・・というより切れてしまいました.チーム物見山の盛永さんに声をかけて励ましていただき(「後ろにくっついて下さい.上がりましょう!」とおっしゃっていただきましたが,脚が足りずに付いていけなくてごめんなさい.追走集団でなんとか追いすがれました.) 独力ながら,なんとか視界に集団を納めながらも普久川をクリア.しかし集団の下りのスピードに全く付いていけず,単独で限界のペースで追いかけますが,全く前方集団が見えません.しばらく頑張っていたら,幸いにも後方から追走集団がやってきたのでこの列車に飛び乗ります.ローテーションを繰り返しながらちょっとづつ差を詰めて,奥の登りの手前でどうにか先頭集団に喰らい付くことができました.追走集団から巻き起こる「やった!!!」という安堵の声.あー,しんどかった.
奥の登りもなかなかキビシイですが,流石に脚が暖まっただけあって,なんとか先頭集団の中で登ることに成功.
奥の登りを越えたところで一気に海に向かって下り,集団はスピードを上げながら島の北側を辺戸岬回って反時計回りに進みます.アップ不足でイッパイイッパイだった脚も,集団のハイペースでクルクル回しているうちに徐々に戻ってきた様子.ローテーションにちょこちょこと加わりながら,集団の前のほうで適度に流していた・・・つもり.念のためにポラールを見てみると,実はそれでも心拍は 85%ちょいあたりを推移していて,気が付かないうちにそれなりに負荷はかかっているようです.やっぱりレースになると心のリミッターが外れているのでしょうか??(ひょっとしたら緊張して心拍が高めだったのかもしれない.) 去年はこの区間で頑張りすぎて後半でエライ目にあったので,ローテーションには適度に参加したら,後はセーブして走ることにしました.80kmのスタート地点を通過したときに 80km組の声援に元気付けられます.HOT STAFFで 80kmにエントリしていたアラキさん,モリヤさん,ウエキさんは僕に気が付いて応援していただいたみたいです.(こちらも,せっかくの応援に気が付かず,申し訳ありません.きっと,パワーをしっかり受け取って走れたのだと思います.)
この頃になると,ようやく落ち着いて周囲の状況や沿道の様子を見る余裕がでてきました.現時点で集団前方いる周りの人はみんな強そう.ざっくり見ても,シマノドリンキングの 2人,九州大学ジャージを着た子,台湾人チーム,Team Giroジャージのみなさん,このあたりは間違いなく強そうな感じです.物見山の盛永さんはレース慣れされているのか余裕の走り.沿道の応援は気持ちよく,これはマヂで力になりますね.快調なペースで島北西部を反時計回りに南下し,いよいよ 2回目の普久川の登りです.
登り始めは集団はソロソロと登り始めますが,これまでの状況から先頭がリストラをかけに突然加速をかけるに違いない.とはいえギアをかけて脚を削るのは嫌すぎる.となれば答えはひとつで早めのタイミングでインナーに入れて回転重視でとっとと集団前方に上がるしか無いのです.登り区間は集団前方にいると楽ですね.集団の後ろにいるとペース変化に気が付くのに遅れるのでリカバリがすごく大変なのですが,前方にいるとペース変化のきっかけが近いので,すぐに反応できます.死にそうになりながら登った一回目と比べて,二回目は特に苦しいこともなく淡々と登坂終了.補給ポイントでポカリをもらって,粉末アミノバイタルとカーボショッツを流し込み,後半に備えます.幸いにも今日は気温がそんなに高くないので,水の補給は要らない感じ.ポカリと食い物だけしっかり補給しとけば大丈夫でしょう.
ここからは平良関門までアップダウンの繰り返し.そこでハタと考えました.ここまでの登りは集団に無理にペースを合わせて消耗気味.脚を削ってマジアタックしても源河までの平坦で追いつかれるのは自明だけど,(多分,付いてるギアが違うので)普通に自分のペースで登ってもナチュラルに先行してしまうわけだから,そのまま集団から先行してマイペースで登ってしまおう,下り区間が近づいたらペースを落として回復モードで走り,集団に合流してしまえばいいや.・・・てなわけで,先行することに大決定.ひょろひょろと登って勝手に集団から先行し,100〜200mくらいの集団から泳がされている程度の差で登っていきます.これならいつものヒルクライムみたいな感じで気楽に登れて落チンチン.登りで先行して下りで差を詰められを繰り返す様子見モードで進みます.先行している間に,ずいぶん前に逃げた選手が脱落してきて合流してきたので,あわよくば集団から大逃げできれば美味しいな〜と欲張りにもなりましたが(実際,何人かで結託して一緒に逃げを試みてみた),さすがにそうは問屋が下ろずに当初の予定通り,平良の手前で完全に集団に吸収されました.自分のペースで走れてかなり脚を残せたのでまずまず成功・・・といったところ.
集団に吸収されてからは,終始,集団前方で動くことにしました.目的はローテーションに加わることと,おそらくこの前方にいる選手が最終的に積極的に動く選手なんだろうなということで,面子の顔とジャージとゼッケンを覚えることです.まぁ,だいたいは辺土岬のあたりでチェックした選手がそのまんま積極的に動いている・・・という感じ.確か,優勝した台湾選手に「一緒にアタックかけないか?」とお誘いを受けたのもこの辺り(もしくはもうちょい手前).おそらく集団前方でチョロチョロしてたので,余裕があると思われたんでしょうね.(笑) 自分に脚力が十分あれば(僕の性格的に)絶対にお誘いに乗っていたのですが,ここでアタックすると間違いなく源河で潰れる(=完走できない)と判断して,お断りしました.ほんとに残念・・・.(次回はこういう動きにも乗れるように強くなりたいです.)
源河の登りは三段坂.チョロチョロ,どーん,ぱっぱと三段階に登るのです.単発で登るとたいしたことの無い坂なのですが,レースも終盤で売り切れ気味の脚では無茶苦茶キツイ.しかもキツサは後の坂になるほどキツイ.最初の坂は集団でチョロチョロと登りクリア.ちょっと下ってから二段目の登り.(ここで三段目の坂の存在を記憶の彼方に忘却していたのが敗因です.) これで最後の坂だ!と勝手に踏ん張ってフンフンと登ってなんとかクリア,源河関門に向かってダウンヒル!・・・のはずが,前方に再び上り坂が立ちふさがる.あーーー! 忘れていた!! 完全に終わった脚で一生懸命に登る羽目になってしまいましたよ・・・.去年とまったく同じパターンじゃないか.元気な人はここから集団を飛び出し逃げに入っていった模様.僕は逆に集団後方に向かってバックアタック! しかししかし,去年と違うのは,今年は番長練の成果で,脚が売り切れた後の登りでもナントカ登れるようになったこと.集団から千切れながらも大差をつけられずに(でもかなりの差をつけられて)なんとか最後の坂を登りきる.でも,むちゃくちゃしんどいですが,ここで休むわけにはいけないのです.R58に入ったらどう頑張っても集団には追いつけないから,下りも鬼漕ぎして源河関門までに追いつかねば!!
必死に下っていくと,視界が開けてエメラルドグリーンの海が飛び込んできた.思い起こせば去年はここで脚切りになってしまったわけで,グッとくるものがあります.市民200kmにも抜かれていない状況なので今年は絶対大丈夫なのはわかっていても,思わず不安に駆られてポラールの時刻表示を確認してしまう.まだまだ12時前.大丈夫だ,やった!! グッとくるものを感じながら小さくガッツポーズを取りつつも,余韻はここまでにして気持ちを切り替えます.去年の忘れ物は取り戻しました.ここからが今年の僕のツール・ド・おきなわ なんです!
源河関門に迫ったところで,R58への直角カーブでモタモタしている先頭集団を視界に捕らえる.これはいけるかも!! 残った脚はここで使い切っても構わない.ギアをかけて回転上げて,単独で集団を追いかけます.R58に突入して集団は隊列整理中らしく急激なペースUPはまだ見られない.それでも前方から千切れつつある人達に「ここで追いつきましょう! 僕の後ろに付いても良いんで一緒に行きましょう!」と声をかけながら,HOT朝練集合場所までの個人TT練を思い出しつつペースを上げる.心拍は 95%を突破してるのですが,不思議と苦しさは感じません.多分,この瞬間が一番このレースで走れていた瞬間だと思われます.僕の後ろに人が付いてこれてたかどうかは確認できませんでしたが,少なくとも僕はなんとか集団に追いつきました!! ここからは辛い山岳区間を越えてきた選手達へのボーナスステージ.名護に向けて大通り(R58)を南下していくことになります.
追いついたメイン集団は結構な大集団.少なくとも 30人くらいはいるんじゃないのか?? 肩で息をしながら,しばらく集団後方で息を整えつつ,今後の走りを考える.ここから名護へのルートは,あと2つほどの短いダラダラっとした上り坂を通る.集団リストラはたぶん最後の坂あたりだろうから,一休みして回復する時間はありそう.急いで集団前方に上る必要は無いでしょう. 2つ目の坂でちぎられないように徐々に集団前方に移動して,集団のペースが上がってきたら積極的に動こう.ゴールスプリントになったら素人には勝ち目が無いので,できればロウソクの最後っ屁の力でロングスプリントを狙いたいなぁ・・・.無理なら覚悟を決める・・・と.
集団前方に移動していると,物見山の盛永さんと再び遭遇したのでご挨拶.さすが強いだけあって,きっちり集団に残られており,ジツリキの違いを思い知らされますです.こちらはおかげさまで綱渡り状態ですが集団に残れました.
一つ目の坂は集団もそれほどペースを上げずに動きますが,先頭が登り際でペースアップしたのでこちらもペースアップ.ウリウリっと走って付いていく.そんなに集団はリストラされてない.二つ目の坂では静かに上がって徐々にペースアップ.中切れの気配がプンプンするのでペースを上げて登って二つ目の坂をクリア.ここで集団はかなりスピードを挙げます.集団前方はナチュラルにローテーション状態になり,僕も集団を引きながら走る展開に.うわーっっ気持ちイィー!! でも,52-12Tだとギアが軽すぎ〜(泣).こんなに集団のスピードが上がってしまうと(TOKの走力比),もはやロングスプリントを図るには(脚も足りないけど.)ギアが足りない.集団スプリントなんてやったことないけど,もはや覚悟を決めるしかない.
残り 1kmの看板を過ぎると集団は棒状になり,集団前方の左側に陣取って前に出る機会を伺う.前方には R58の広くて長い直線が延び,その先にはゴール直前の左カーブが見える.レベルは全然違うけど,気分はグランツールの平坦ステージのゴール前だ.いよいよここまで来た.ポラールの心拍数表示が今の運動強度以上に上がっているような気がするのは,きっと気のせいじゃない.
左側のほぼ先頭位置.左コーナーを小さく回ってトラクションをかけながら最後の脚力をつぎ込んで残り 500mを突っ走ろうと決意.しかし素人の作戦なんて屁にもならず,左に曲がったところで回りもスピードを上げ進路をふさがれる.隙間を見つけて突っ込もうにもスピードが足らず突っ込めない.後方で落車発生! バシャーンと音がするも無事をお祈りするのみ.すぐに前方で落者発生! チームGiroジャージの人と京大の人が巻き込まれている.終始積極的に走られていて,自分よりもずっと強い人だっただけに,とても気の毒だ.落者の影響で前が少し開いたので,これがラストチャンス.突っ込んでいったが当然回りも同じことを考えていて,遭えなく完敗.何も出来なかった.全てにおいて負け負けです.
それでも気持ちよかった!!
ゴールラインを超えたとき,思わずガッツポーズを取り意味不明な叫び声を挙げた自分に驚いた.僕ってこういうキャラクターじゃなかったのに,一年越しの完走が嬉しくて押さえ切れなかった.(サタケさんと Hさんがその瞬間を車から目撃して頂き,祝福の声をかけて頂いた.) さっきまで死に物狂いで競っていた周りの方々も表情が一変して,マブダチみたいな妙な連帯感が感じられる.物見山の盛永さんにもご挨拶.最後まで横で競っていたナルシマの方ともご挨拶.集団の先頭を獲ったシマノドリンキングの方にも声をかけていただき,とても充実した気分だ.
リザルトを確認すると 19位.出来すぎ.分不相応.これは実力値ではないのは明らかで,自己評価だと良くて 50位くらいだと思っています.職場環境が激変して週一回の練習しかできなくなちゃったけど,一年間の番長練と HOT STAFF練習を通じて頑張ってきたことにたいするご褒美だと思い,次のステップに向かってまた頑張りたいと思います.
HOT STAFFの皆さん,番長練の皆さん,おきなわで一緒に走った皆さん,ありがとうございました.自転車をやってて良かったです.