サイドウェイ

立川のシネマシティの設備の良さが思いのほか気に入ったので，また映画を見に行ってきました．シネマシティには「シネマカウンシル」という企画があって，毎月 お客さんのリクエスト（投票）で過去の秀作・佳作を 1000円でリバイバル上映するのです．今月の作品は「サイドウェイ」．初公開時はミニシアター系の上映でそれなりに話題になったらしいので，見てみました．

サイドウェイ〈特別編〉 [DVD]

・・・予想外に面白いよ，コレ．
一言で言うと「中年だめおやじ系ロードムービー」．離婚のショックから立ち直れない駄目中年 マイルズと，結婚間近なのに女たらし生活から抜けられない駄目中年 ジャックの男２人旅，旅先で出会ったワケ有りの中年女性と行きずりの恋とドタバタを描いた，ちょっと切ない素敵なストーリーです．タイトルの「寄り道」という言葉の通り，人生ではメインストリートからちょっと寄り道する瞬間があるけど，寄り道も大事な「道」であり，人間はそこで少しだけ成長してメインストリートに戻ってくるんだよ・・・という内容でした．ラストの締めくくり方もアメリカ映画っぽくないすばらしい終わり方．こういう脚本は超好みですねー．130分もある長い映画なんですが，時間をまったく感じさせないお話でした．
映像の作りが少し特徴的で，敢えて白トビを恐れない露出オーバー気味の絵作り．1970年代のアメリカングラフティっぽい絵が，音楽もあいまって映画の雰囲気にピッタリ．ブエルタ・ア・エスパーニャのアンダルシア地方のステージの乾いた映像の，あの感じです．カルフォルニアワインのブドウ畑の雰囲気を見事に表現していて，素晴らしい映像だと思いました．
キャスティングもすごくよかった．主役の男優２人（ポール・ジアマッティ, トーマス・ヘイデン・チャーチ）もすばらしかったし，マヤ役のヴァージニア・マドセンが素晴らしい．人生を積み重ねた大人の女性の艶のある演技がとても色っぽく，魅力的でした．
久々に良質なアメリカ映画を見れたような気がします．地味にお勧めの一本です．