「パプリカ」読了

久しぶりに筒井康隆が読みたくなって,映画化で話題になったコレを買ってみました.ちなみに映画は未見です.

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)

2部構成の小説なんですけど,第1部は75点,第2部は55点で,平均 65点でした.
主人公のパプリカ=千葉敦子,正直言ってキライなタイプで感情移入できなかった.典型的なオヤジが好きそうなタイプの小娘で,行動や恋愛志向もオヤジ好み.このキャラ設定の時点で「筒井康隆も歳を取ったなぁ・・・」と思ってしまった.
第1部は“夢探偵”パプリカのセラピストのお話が中心になります.セラピストとしての描写が的を得ているのかどうかは専門家ではないので分からないのですが,ちょっとした謎解きっぽいストーリー展開と,現実世界での人間模様は,なかなか面白かった.「さよなら妖精」の作者が“人の死なないミステリー志向”で中途半端だったのは先日書いた通りですが,たぶん,この第1部のようなところを狙いたかったんだろうなと思います.違うかな??
でも第2部になってから,いや,第2部の序盤は良かったのですが中盤あたりからとたんにグダグダ.夢と現実との二重構造表現を模索した・・・らしいのですが,はっきり言って中途半端で C級テイストで面白くなかった.映像的インパクトを狙った演出なんだけど,文章的なインパクトが無くて「なんじゃこりゃ」という印象しか残らないんですよね.なんというか,「表現が浅い」です.
全体としての感想は,導入や着想はいいんだけど,文章力が追いついてないなぁ・・・というところでしょうか.筒井康隆のピークは過ぎちゃったのかな〜と思ったというのは言い過ぎ?? でも,ほんとに惜しい作品でした.